理事長のつぶやき NO8
理事長のつぶやき NO8
ICF(国際生活機能分類)が、その前身のICIDH(国際障害分類 1980年)から変更になったのは、2001年です。もう25年が経過しました。前身のICIDHが疾病が原因で障害となったことに焦点が当てられていました。しかし、ICFは「生きることの全体像」としてとらえられ、健康状態をとらえています。
さらにWHO(世界保健機構)の健康の定義では、「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない」とされています。
この「完全に良好な状態」という定義に私も引っかかるものを感じますし、様々な論議を呼んでいます。
NO7でご紹介した「生活臨床」は、「症状があっても生活できればよい」という発想から「”どう治すか”から”どう生きるか”の支援」を目指しています。そのためにはコ・プロダクションモデルを導入することによってさまざまな人的資源の信頼を基盤とした持続可能な地域支援ネットワークを構築できるとしています。
私たち、地域の支援者はおそらく理論より前に実践としてこの”どう生きるか”を支えてきていると思ってます。ただ一つ医療機関との連携を除いて。
今回は、トントン工房の前身の作業所トントンから通所している方をご紹介したいと思います。今から18年前になります。ご両親と三人で暮らしていらっしゃいましたが、お父様がお亡くなりになり、お母さまも施設に入ることになりました。ご姉妹は、当時自宅で引きこもり状態の彼をどのように支えたらと悩まれて、保健所に相談しました。それで精神科クリニックにつながり、その先生のご紹介で作業所トントンにつながりました。
ご姉妹は、一人暮らしになることをとても案じてらっしゃいましたが、ご本人は今の家で暮らしたいと希望されました。作業所に毎日通うことを約束し一人暮らしが始まりました。
その日から、ほぼ毎日通われています。現在のトントン工房は、午前はお弁当の製造販売
午後は、一人暮らしのお年寄りの方の配食サービスを仕事にしております。ご本人は、今でこそ体力的にきつくなってきたと思いますが、毎日、お弁当と配食の仕事を続けていました。工賃もしばらくトップでした。この方には、職人としての風格が漂い、他の利用者の方の目標でもあります。現在、70を過ぎて有料老人ホームから毎日通ってらっしゃいます。
おにぎりを作るときの塩加減は、本当に見事なもので夏の暑い日は、塩分が若干増えております。時折仕事をしながらぶつぶつとつぶやいたり、何かが聞こえているようでもありますが、だれ一人気にすることなく仕事をこなしております。
こうした”どう生きるか”という視点で日常の生活が、地域では日々営まれております。
